育成就労制度の導入で変わる外国人就労の新しい形:技能実習制度からの転換とその詳細

query_builder 2024/11/09
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行政書士ROYAL国際法務事務所でございます。


現在、日本では深刻な人手不足が続いており、加えて国際的な人材確保競争も激化しています。こうした背景を受け、外国人の労働者を迎え入れ、国内の産業を支えるための新しい制度「育成就労制度」が設けられました。

この制度は、従来の「技能実習制度」に代わるものとして、外国人が日本で働きながらスキルを身につけ、キャリアアップを図れる環境を提供することを目的としています。

ここでは、育成就労制度の目的や特徴、従来の技能実習制度との違い、さらに特定技能制度との関係について分かりやすく解説させていただければと思います。

育成就労制度の目的と設立背景

目的及び設立背景

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近年、日本国内の人手不足が深刻化する中、単に人材を受け入れるだけでなく、外国人にとっても魅力的な働きやすい制度を整えることが求められています。従来の「技能実習制度」では、日本で技術を学び母国に還元することが目的とされていましたが、実態との乖離があり、労働者の権利保護に課題も見られました。

そこで、新制度の「育成就労制度」は日本国内の人材不足解消と、外国人労働者の権利保護の強化を目的とし、外国人にとって日本が「選ばれる国」となることを目指しています。

この制度は、外国人労働者が日本でキャリアを築き、長期間にわたり働きやすくなるよう設計されました。


育成就労制度の特徴と具体的な仕組み

育成就労制度の概要

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育成就労制度は、外国人労働者を受け入れて育成することで、国内の人材不足を補いながら彼らの成長を支える仕組みとなっています。

育成就労制度の下では、外国人労働者は日本で働きながら3年間の就労を通じて技能や日本語能力を身につけることが求められます。この3年間の就労期間が終了した後、一定の条件を満たせば「特定技能1号」へ移行し、さらに長期間働くことができるようになります。

尚、3年目で特定技能試験等に不合格となってしまった場合には1年間延長することができます。

転籍の自由と権利保護

育成就労制度では、外国人労働者の権利保護が強化され、これまで認められていなかった転籍の自由が一部認められるようになります。

パワハラや暴力などの人権侵害が発生した場合に加え、外国人本人の希望に応じた転籍も可能で、一定の条件のもとで他の受け入れ機関への転籍が認められます。

転籍が認められる条件として、転籍先の業務が現在の業務と同一であること一定期間の就労実績(1~2年)があること技能や日本語能力が一定水準に達していることなどが挙げられます。

対象分野と就労制限


育成就労制度の対象分野は「育成就労産業分野」として設定される産業であり、これは日本国内で生産性向上や人材確保が必要とされる分野に限られます。

例えば、農業や建設業、介護業など、外国人労働者が多く従事する分野が想定されています。また、外国人の送出国についても、悪質な送出機関の排除を目的として、二国間で協力覚書を結んだ国からのみ受け入れを行うことが原則となっています。


特定技能制度との連携

制度連携

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育成就労制度は、技能を持たない外国人が日本で働きながらスキルを身につける「成長支援」のための制度ですが、特定技能制度は、一定の技能を持ち即戦力として活躍できる人材が対象となっています。

育成就労制度は原則3年間の就労を認めており、特定技能1号に移行する場合には、技能と日本語能力の試験に合格する必要があります。

特定技能1号は5年間の在留が可能であり、特定技能2号には在留期限がなく、長期間日本での生活が可能です。

このように、育成就労制度から特定技能制度へとスムーズに移行できることで、外国人労働者にとってもキャリアの一貫性が保たれ、日本での安定した生活が期待されます。


育成就労制度の受け入れ体制と優良要件

受入体制と優良要件

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育成就労制度では、受け入れ機関の監理体制が強化され、優良な受け入れ機関には手続きの簡素化などの優遇措置が適用されます。

これにより、外国人労働者がより安心して働ける環境が整備されるとともに、受け入れ機関が適切な管理と支援を提供できるようになります。

また、派遣の形態での就労も一部可能であり、農業や漁業など季節性のある分野では、派遣元と派遣先が共同で育成就労計画を作成し、その計画が認定を受けることで、派遣形態での就労が認められています。

この制度により、受け入れ機関は柔軟に対応しやすくなりますが、労働者の人材育成が一貫して行われるよう注意を払うことが必要とされます。


特定技能制度の変更点と育成就労制度の支援体制

特定技能制度の変更点と育成就労制度の支援体制

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特定技能制度では、特定技能1号の支援業務は登録支援機関に委託することが必須とされ、受け入れ機関や登録支援機関の要件も厳格化されます。

さらに、外国人育成就労機構も特定技能1号外国人に対して相談援助を行うようになるなど、外国人労働者がより安心して生活し、キャリアを築けるような支援体制が整備される予定です。

これにより、受け入れ機関が必要な監理や支援を適切に行う体制が一層強化されます。

結論

育成就労制度がもたらす未来

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育成就労制度の導入は、日本の人材不足に対する解決策の一環であり、また外国人が日本で安心して働ける環境を整えるための重要な一歩です。技能実習制度からの発展として、育成就労制度は外国人労働者にキャリアアップの道を提供し、権利保護の観点からも大きな進展が見られます。施行日はまだ未定ですが、外国人労働者にとってより明確で透明性の高い制度の整備が期待されています。



【当所紹介】  

全国で登録支援機関や監理団体の顧問として、外国人業務に関する法務相談に対応しております。 

当事務所では、元入管職員や元警視庁職員も在籍するとともに、建設業や製造業をはじめとするさまざまな業界に精通しており、外国人ビジネスにおける多角的なコンサルティングを強みとしています。

さらに、Royal Consulting社労士事務所を併設していることから、労務管理や助成金の申請も含めた一気通貫のサービス提供が可能です。外国人の在留資格に関するコンサルティング業務も一貫して提供しており、育成就労制度のみならず、特定技能や技術・人文知識・国際業務など、幅広い在留資格に対応したサポートを行っております。  

当所では外国人業務専門の行政書士・社会保険労務士事務所となっておりますので、ささいなことでもROYALグループへお気軽にご相談くださいませ!

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